Accessから脱却した新システムを再構築し
自動車事故発生時にお客さま対応の“差配”を一元実行

損害保険ジャパン株式会社

業種: 金融・保険業

対象部署: お客さま事故サポート部

対象業務: お客さま対応の差配全般

Officeソフトを用いた“差配”のレスポンスが低下

損害保険ジャパン株式会社 椎名康夫氏
損害保険ジャパン株式会社
お客さま事故サポート部
部長 椎名 康夫氏

損害保険ジャパンでは、万一夜間休日に自動車事故が起こった場合に、代車の手配や相手方とのやり取り、病院へ連絡を含めた24時間365日体制の初動対応を行うことで、途切れることのない安心をお客さまに提供している。
そんな事故受付の最前線でのミッションを担っているのが、お客さま事故サポート部である。夜間休日にお客さまからの連絡を受け、迅速に担当者をアサインするとともに、その後の対応状況の管理まで一連の差配※1 を行っている。

だが、この重要な業務を支えるシステムに大きな課題があった。「Microsoft Accessを中心としたOfficeソフトを利用して一連の差配プロセスを回していたのですが、部内に300人以上いる担当者が一斉にログインして情報を更新することもあり、Accessのレスポンスが著しく低下してしまう問題を抱えていました」と明かすのは、同社 お客さま事故サポート部 課長代理の山下 奈己氏である。

損害保険ジャパン株式会社 山下奈己氏
損害保険ジャパン株式会社
お客さま事故サポート部
課長代理 山下 奈己氏

同社 お客さまサポート部 部長の椎名 康夫氏も、「当部が担っているのは、お客さま対応のフロントであり、担当者一人ひとりが会社を代表しているといって過言ではありません。そうした中で発生する遅延は、損保ジャパン全体の信頼低下を招いてしまうおそれもあるだけに、可能な限り早い段階でのシステムの抜本的な改善が求められました」と語り、同社は差配を支えるシステムの再構築に乗り出した。

※1 差配:組織やプロジェクトの管理者が、人員などを適切に配分し管理すること

既存の機能やユーザーインターフェースをCELFで再現

損害保険ジャパン株式会社 片山ともみ氏
損害保険ジャパン株式会社
お客さま事故サポート部
片山 ともみ氏

実際、システム再構築に多くの時間をかけてはいられないため、大人数での同時アクセスでもパフォーマンスが担保できるシステムの構築が急務だった。
この要件をもとにベンダー数社から寄せられたソリューションの中から、同社が選定したのがノーコードツールのCELFである。

「システム再構築および現場業務への移行を最短スケジュールで実現するためには、あらためて要件定義から行っているわけにはいかず、Officeソフトをベースに提供している既存の機能やユーザーインターフェースを、担当者に違和感を抱かせることなく一通り再現できることが重要な要件となります。この点に関して『CELFを用いれば、Excelと同じ見た目や操作性を備えた業務アプリケーションを簡単に作ることができる』とSCSKの営業担当から聞き、選定の決め手となりました」(山下氏)

さらに同社 お客さま事故サポート部の片山 ともみ氏が、このように続ける。
「今回はシステム再構築の期間短縮を優先したことに加え、別システムの開発案件を通して当社のネットワークやシステムを熟知していたという信頼感から、システム構築を含むすべての作業をお願いしました。しかし、本来CELFは業務現場のユーザー自身によるアプリ開発の“民主化”を推進していくツールです。私たちは今回の新システムについても、今後のメンテナンスやカスタマイズは基本的に内製で対応していきたいと考えており、CELFであれば十分に使いこなしていけるという確信を持てたことも、ソリューション選定の重要ポイントとなっています」

わずか6か月でシステム再構築を終えて安定稼働を実現

同社は差配プロセスを支えるシステムの再構築を2023年10月にスタートし、翌年3月に新システムのリリースにこぎ着けた。これによって得られた最大の効果は、飛躍的なシステム安定性の向上である。

「300人を超える担当者が一斉にログインして情報の新規登録や更新を行った場合でも、レスポンスが低下することはなくなりました。また、従前のように用途にあわせてAccessやExcel、Wordなど、複数ツールの画面を開く必要もなくなりました。CELFで一元化されたシステムの画面内で切り替えるだけで操作することが可能となっています。これにより担当者の業務効率も大きく改善しています」(山下氏)

なお、新システムの展開にあたって担当者に対するユーザー教育などの手間もほとんどかからなかったという。
「従来から慣れ親しんできた機能やユーザーインターフェースが新システムでも踏襲されているため、担当者は戸惑うことなく操作することができます。そのため、新システムへのログイン方法などの変更点を説明するだけで、担当者に公開することができました」(片山氏)

もちろん今回のシステム再構築は、従来からの機能や画面の見た目を単に焼き直しただけではない。特に管理者がより使いやすくなった部分として、別ツールで表示させていた内容をCELFに取り込むことで、CELFを使うだけで必要な情報が表示されるようになったことだ。

「お客さまからご連絡を受けた事故に担当者をアサインした後、それぞれの進捗が現在どうなっているのか、ダッシュボードに一覧表示してよりわかりやすく確認できるようにするものです。各拠点に差配された件数や割合が一目で把握することが可能となり、管理者は必要な手立てを迅速に打てるようになりました」(山下氏)

差配ツールのイメージ

一人ひとりの働きやすさを高めてお客さま満足度を向上

喫緊の課題となっていた差配を支えるシステムの安定稼働を実現し、パフォーマンスを向上したことで、当初の目的は十分に達成できたと言える。
ただし、これがゴールではない。同社はCELFを活用することで得られた新システムのメリットをさらに大きく引き出すべく、取り組みを前進させていく考えだ。

「従前の差配ツールで利用していたAccessやExcelの中には、さまざまなデータを集計・分析するためのマクロも数多く組み込まれています。こうした個別目的のために作られたプログラムも新システムに巻き取りながらさらなる機能アップを図ることで、お客さま対応にあたる担当者や管理者の生産性向上に寄与していきます」(山下氏)

「生産性向上は単に業務効率を改善するだけでなく、一人ひとりの働きやすさを高めていくことを目指しており、ひいてはこの取り組みがお客さま対応の品質向上や満足度の向上にもつながっていくと捉えています。新システムにおけるCELFの高度活用が、まさにその実現の鍵を握っています」と椎名氏も語っている。

CELF導入前後イメージ

企業情報

企業名損害保険ジャパン株式会社
業務内容
    自動車保険・バイクの保険、自転車・歩行中の保険、自賠責保険、火災保険、地震保険、海外旅行保険、個人用傷害所得総合保険(ゴルファープラン)、個人用傷害所得総合保険、健康生活サポート保険

導入事例