旧態依然の販売管理システムをCELF×奉行シリーズで刷新
社内DX化の先達として企業風土に変化が生まれる

株式会社埼玉新聞社

業種: 情報通信業

対象部署: 販売部

対象業務: 販売管理

販売管理システムの陳腐化とミスにつながる設計の改善に着手

埼玉新聞社は、1944年の創刊以来、埼玉県内における政治や経済、文化、スポーツといった幅広い分野のニュースや各種情報を伝える日刊紙として県民に愛されてきた。企業理念として「地域を元気に」を掲げ、地域イベント開催なども精力的に行っている。
「創刊80周年を1つのきっかけに新しい新聞社になるという意気込みで、指定管理事業のような直接報道に関わらない分野にも挑戦し続けています。そのチャレンジの一環として、デジタル媒体の発行へ注力するとともに、まだまだ出遅れているDXに取り組みながら、社内のマニュアルや会議資料といった紙媒体のペーパーレス化なども進めていきたいと考えています」と話すのは、埼玉新聞社 経営改革本部 経営企画室兼デジタル推進室 副部長の金子祐樹氏だ。
「新聞社としての性質もあるのか、稟議や承認、経費申請をはじめ、とにかく社内に“紙”を使った業務が多いのが課題でした。その改善も含めてDX改革を進めることにしました。たとえば、長年アナログで記録してきた勤怠管理についても、1年ほど前からクラウドサービスを利用した管理となりました」(金子氏)
そんな同社で急務となっていたのが販売管理システムの刷新だった。同社 販売部では、販売管理システムとして15年ほど前からMicrosoft Accessをベースとした独自ツールを利用していた。当時の販売管理システムは、外部の開発会社に委託して開発されたものであり、販売部の社員にとっては日常的に使い慣れたツールだったという。
しかし、長年にわたり使われていただけに、現行Accessのバージョンから乖離するとともに不具合も多くなっていた。さらに、委託先の開発会社での人員変更もあって、システムの構成がブラックボックス化し、メンテナンスもままならなくなっていた。

金子 祐樹氏
株式会社埼玉新聞社
経営改革本部
経営企画室兼デジタル推進室
副部長 金子 祐樹氏

また、同社 販売部では、各スタッフが担当するエリアの販売店で、毎月の販売部数を集計するとともにそれに伴う請求書を発行したり入金処理や売掛処理を行ったりしていた。そのデータは各担当者がExcelで管理しており、それを旧販売管理システムに手入力していたため、ミスが多発していたとのこと。
「Excelへの二重入力などの課題解決するために単体でパッケージソフトを導入しようとしましたが、そのソフトはExcelのデータを取り込む際に、ある程度の加工が必要になってくるため、作業工数が増えてしまう可能性がありました。さらに、メインユーザーである販売部から『Excelでの管理から運用を変えたくない』『使い慣れた旧販売管理システムと同じ見た目のシステムはないのか?』といった使い勝手に関する要望が多数上がっていたことから、パッケージソフト単体での導入を断念することにしました」(金子氏)

Excelライクの操作性とカスタマイズ性を評価しCELFを選定

新システムを模索していた埼玉新聞社が付き合いのあるSIerに相談したところ、1つの提案があったという。
「同時期に検討していた販売管理系パッケージソフトの『奉行シリーズ』とセットで運用できるアプリとして提案いただいたのがCELFでした。CELFであれば販売部から最も要望が多かった『Excelでの管理・運用』『今まで使用していた旧販売管理システムと見た目・使い勝手が変わらないシステム』が担保できることが大きな導入の決め手でした。またCELFと商奉行をセットで導入することで、販売管理システムに取り込むためにデータを加工する必要がなかったため、導入の障壁になっていた課題がどちらも対応できたことが大きかったです」(金子氏)

CELF導入前後フロー

そしてCELFの導入コストや運用コストについても評価し、2022年12月ごろに導入を決定した。
「CELFはローコードで必要な機能をカスタマイズできるのが魅力ではありますが、私も含め社内で開発するのはリソース的に難しいと判断し、外部の開発会社へ委託しながら構築しました」(金子氏)

簡易的なメンテナンスの内製化と作業工数削減を実現

初期開発はスムーズに行われ、2023年夏頃には旧システムとの並行運用が開始。インボイス制度の施行タイミングにあわせて正式にメインシステムとして、CELFと商奉行をベースとした販売管理システムの運用が始まった。
新しい販売管理システムの導入時、販売部の現場から不満が上がったり、新システムになったことで作業工数が増えるのでは?といった懸念があったが、部内の若手メンバーに旗振り役になってもらったこともありスムーズに切り替えができ、今ではCELF×商奉行の活用が定着しているとのこと。
「これまでは、ちょっとしたデータ項目の変更やデータベースの訂正をする際でも、わざわざ開発会社へ連絡して調整してもらっていましたが、CELFを導入してからは社内で簡単なメンテナンスを行えるようになり、コスト削減につながっています。また、ExcelとCELFの連携によりデータの手入力がなくなり、作業工数や入力ミスも削減できました。販売部の現場からは、販売管理業務について1カ月あたりで丸1日分の作業が軽減したという声も上がっています」(金子氏)

CELF導入が社内IT推進の起爆剤に

今後、埼玉新聞社では、社内におけるCELFのスキルを高めながら、本格的なカスタマイズの内製化にも挑戦し、従業員のデジタルリテラシーの向上も図っていく方針だ。
「世間一般で新聞離れが叫ばれるなか、地域密着とはいえ当社も苦戦しています。そのためにもCELFや奉行シリーズのようなツールを導入しての業務効率化は、従業員のエネルギーを別のチャレンジに向けるきっかけになり、それによって社内の風向きが変わるのではと思っています。従業員それぞれがデジタル改革を意識しながら効率的に業務をこなし、自身の時間を1分1秒でも多く獲得してもらいたいと思います」(金子氏)
CELF×奉行シリーズの導入は、埼玉新聞社全体のデジタル意識を改革し、DXを加速するきっかけにもなりそうだ。

企業情報

企業名株式会社埼玉新聞社
業務内容
    日刊一般紙の発行、Web版・モバイル版「埼玉新聞」の配信、各種広告の企画・制作、各種イベントの主催、施設の運営・管理業務、出版・印刷業務など。

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