Excelによるシフト表の作成・管理から脱却
CELFへの移行で属人化を解消し、あらたなシステム化の一歩を踏み出す

株式会社いなげや

業種: 小売業

対象部署: 店舗管理部門

対象業務: レジシフト作成業務

チェッカーのシフトの作成・管理が属人化。本社側では状況の把握が困難

東京多摩地区を中心に、埼玉・神奈川・千葉の1都3県で130店舗以上の食品スーパーマーケットを展開する株式会社いなげや。同社は、“地域のお役立ち業として社会に貢献する”というビジョンのもと、1900年の創業から120年以上にわたって地域の生活を支えてきた。近年は地場産野菜や惣菜の販売に注力しており、地域に密着した店舗づくりを心掛けている。

情報システム部 課長 西坂 勝巳 様情報システム部
課長
西坂 勝巳 様

同社の店舗運営において、重要な業務のひとつにチェッカーのシフト作成・管理がある。店舗の繁忙期や混雑する時間帯に合わせ、熟練度の異なるチェッカーをいかに効率よくレジに配置するかは、売上を拡大する上で大きなポイントだ。
CELF以前はExcelのマクロベースで開発した内製システムLSP(Labor Scheduling Program)を利用しレジシフトを作成していた。各店舗のチェッカーチーフがシフトを作成、プリントアウトしたものをサービスカウンターに掲示していたのである。しかしLSPは各店舗が独自に運用を進めた属人化が発生。本社側ではシフトの作成・管理状況の把握が困難だった。
当時について情報システム部 課長の西坂勝巳氏は「シフト表の作り方が担当者によって癖があり、また店によっては独自の記号を使っていたり、特殊なマクロや計算式を使っていたりすることがありました。さらに、そうした担当者が別の店へ異動することで、異動先でも独自の運用が広がってしまい、結果として全体としての統一感がとれなくなっていたのです」と振り返る。

さらにシフト作成時にExcelに不具合が起こると最初から作り直さなければならないという問題もあった。これでは担当者にとって時間の無駄になるばかりか、ストレスの原因ともなった。また、時間帯別データを入力する際、1週間に1度、別のシステムから取得し、それをLSPに貼り付けをしなければならなかった。この更新作業におよそ10分程度の時間を要していた。
同社は今後展開を予定している店舗の増加やセミセルフレジの対応にはこのようなLSPの問題を解決する必要があると判断。新たなレジシフト作成・管理の方法を検討することにした。

アプリ画面を従来システムに寄せて導入をスムーズに実現

いなげやでは、①既存のLSPの再構築、②一部店舗で導入していた他社製パッケージ、③SCSKの業務アプリ作成ツール「CELF」の3つのプランを検討。その中から最終的にCELFを選択した。

グループ経営企画本部 情報システム部 浦辺 雅章 様グループ経営企画本部
情報システム部
浦辺 雅章 様

「SCSKとはEDI(電子データ交換)などの面で取引実績があり、そのご縁からCELFの提案をいただきました。2019年から数店舗の大型店でCELFを試験的に導入し、その結果をもとに改めて検討を進めて2020年6月には全店舗への導入を決定しました。決め手になったのはExcelをベースとした従来のLSPと見た目が近く、使い勝手が大きく変わらないというところです。この点、実際に使う現場の意見も参考にしています」(西坂様)

現場担当者の負担を軽減するため、従来のLSPの画面に近づけることを目指した。グループ経営企画本部 情報システム部の浦辺雅章氏は「文字のサイズ、フォント、レイアウトなどについて担当者に詳しく要望を聞き、SCSKにも知恵を借りながら修正していきました。レジ業務に特有の公休者対応といった機能も特別に追加していただきました。ほかにも、最初に店舗コードを入力することで他店舗の情報を閲覧できないようにしたり、元々ExcelライクなCELFの画面を、自分たちで従来のLSP操作画面により近くなるよう修正しつつ、満足度の高いシステムを構築することができました」と語る。

店舗への展開は、2020年6月から段階的に進めていった。最初は遠方かつ小規模店舗の担当者を対象にリモートで研修を実施し、2021年1月からは全店舗のチェッカーチーフを1回に数名ずつ本社へ集め、1日で対面研修を実施。3月までにすべての店舗の担当者への研修を終えた。
「リモート研修では、担当者と同一の画面を見ながら電話で説明しました。1店舗あたり約1時間から1時間半ほどの時間がかかりましたが、ほとんどの担当者はその間に操作を習得することができました。現時点で全店舗への導入が完了していますが、担当者の中にはPCやWebシステムの操作に不慣れな人もいるため、しばらくは本社から利用状況を見つつ、利用頻度が低い店舗に適宜サポートを行っていきます」(浦辺様)

システムの属人化が解消、余った時間でチェッカーフォローも可能に

いなげやがCELFを導入したことで、最大の問題であったチェッカーのシフトの作成・管理の属人化が解消された。また、仕様が全店舗で統一されたことで、担当者はどこの店舗に異動しても、違和感なくレジシフトを作成・管理できるようになり、システムの更新に時間がかかることもなくなった。
チェッカーチーフもレジシフトを作る時間が短縮されたことで、チェッカーの教育やフォローに回る時間が増えたそうだ。
「現場を見る時間が増えることで、チェッカーチーフは改善箇所をより明確に把握できるようになり、チェッカーに対してレジ登録業務を効率化するためのアドバイスがしやすくなりました」(西坂様)

社内に氾濫するExcel資産の集約に向け、他部門にもCELFを横展開

いなげやでは今後、時間帯あたりのお客様の数、お客様あたりのレジ対応時間などのデータを活用し、改善が必要な場合は人員を増やすなど、さらなる業務の効率化を目指す。加えて、レジ登録まではチェッカーが行い、お支払いはお客様自身が自動支払機を使って精算を行うセミセルフレジの拡大にも注力していく。
また、社内に氾濫するExcel資産の集約に向けて、CELFの活用を検討している。
「いっそうのペーパーレス推進を目指し、本社の他部門にもCELFを横展開していくことを考えています。たとえば、店舗における人事評価などですね。また、本社部門にもシフト体制で勤務する社員がいますので、本社部門のシフト作成・管理にもCELFを活用すれば、会社全体としての統一感、一体感が出るのではないでしょうか」(浦辺様)
SCSKに対しては、検討時や導入時の迅速なレスポンスときめ細かな対応を評価。今後のさらなる支援に期待を寄せている。“脱Excel化”の第一歩を踏み出した同社において、CELFは今後もさまざまな貢献をしていくことだろう。

企業情報

企業名株式会社いなげや
業務内容
    鮮魚、精肉、青果、ベーカリー、グロサリー、惣菜、チェッカー(レジ)/各担当部門における販売、仕入れ、計数管理、パートナーの管理など

導入事例