2022年11月にOpenAI社が対話型生成AI「ChatGPT」をリリースしたことをきっかけに、生成AIが急速に普及し、さまざまな業務に活用されるようになりました。多くの企業で利用されているExcel業務も例外ではありません。
本記事では、Excel業務に生成AIを活用する方法やExcelと連携できる生成AIツール、業務に活用するメリットとともに、生成AIでExcel業務を効率化するポイントや活用時の注意点について解説します。
Excel業務に生成AIを活用する方法
日本では、少子高齢化により労働人口が減少し求める人材を確保できないケースが増えてきました。限られた人員で業務を進めるためには、業務効率化による生産性向上が欠かせません。
多くの企業で利用されているExcel業務を効率化する手段として、生成AIが注目を集めています。ここでは、Excel業務に生成AIを活用する方法について解説します。
Excelの関数を生成AIで作成する
生成AIでExcelの関数そのものを作成してもらう方法です。
Excel業務で関数を使用したいものの、求めたい値を算出する関数がわからず、時間をかけて調べるケースもあるでしょう。生成AIに自分が求めたい値を算出する関数を質問すれば、条件に合った関数を教えてもらえます。
例えば、点数ごとに評価をつける関数をChatGPTに回答をもらう場合の質問(プロンプト)は、以下のとおりです。
以下の目的を達成するためのExcelの関数式を出力してください。
#目的
A列の数値を判断し、B列に「優・可・不可」を出力したい。
#条件
・A列80以上の場合は優と出力
・A列60以上80未満の場合は可と出力
・A列60未満の場合は不可と出力
上記のプロンプトで質問した場合、IF関数とIFS関数が提示されます。
グラフ化や分析を生成AIにしてもらう
Excel業務で入力された情報をもとにグラフを作成し、資料に活用するケースがあるとします。生成AIであれば、Excelのデータを読み込ませてグラフ化してもらうだけではなく、分析してもらうことも可能です。
例えば月ごとの売上額のグラフ化と分析をしてもらう場合のプロンプトは以下のとおりです。
添付のExcelデータを読み込み、月ごとの数値を棒グラフで表してください。また、グラフから読み取れることも考察してください。
上記のプロンプトで指示を与えた場合、グラフ化された画像と分析結果を生成してもらえます。分析結果では、売上額のピークや下限、季節変動などの傾向を示すとともに、さらに分析するために必要なデータを提案してくれます。
生成AIとExcelを連携させる
ChatGPT for ExcelやMicrosoft Copilotなどのツールを使用すれば、Excelと生成AIを連携できます。ブラウザで生成AIを開くことなく、Excel上で「合計値の列を作ってください」「選択したデータのグラフを作ってください」などの指示を与えられるため、作業を効率化できます。
Excelと連携できる生成AIツール
Excelと連携できる生成AIツールとして、以下の3つが挙げられます。
- ChatGPT for Excel
- Copilot for Microsoft 365
- 生成AIツール for Excel
ここでは、それぞれの生成AIツールについて解説します。
ChatGPT for Excel
ChatGPT for Excelは、Excelで直接ChatGPTの機能を利用できるツールです。ChatGPTのAPIキーがあれば無料で使用できます。関数や表、グラフのほか、VBAコードも生成できるため、業務効率化が図れます。
ChatGPT for Excelで利用できる関数として挙げられるのは、以下のとおりです。なお、Excelでの一部機能は英語のみの対応のため、プロンプトは英語入力の必要な場合があります。
- AI.ASK関数:質問に回答する
- AI.EXTRACT関数:テキストから指定のデータを抽出する
- AI.FILL関数:サンプルデータから予測して回答する
- AI.FORMAT関数:テキストを指定のフォーマットに出力する
- AI.LIST関数:質問にリスト形式で回答する
- AI.TRANSLATE関数:テキストを指定の言語に翻訳する
- AI.TABLE関数:指示をもとに表を作成する
- AI.CHOICE関数:データを指定のカテゴリで分類する
ただし、AI関数の無料トライアルは最大100回までしか利用できません。
Copilot for Microsoft 365
Copilot for Microsoft 365は、OpenAIのAIモデル「GPT-4」「DALL-E 3」を搭載しているAIチャットアシスタントです。対話しながら関数や表、グラフ、VBAコードの生成ができます。
ただし、有料となっており、Excelは英語のみの対応のため、プロンプトは英語で入力する必要があります。英語が苦手な方にとっては、抵抗を感じるかもしれません。
生成AIツール for Excel
生成AIツール for Excelは、Excel上でOpenAIを活用できるアドインです。アドインの利用には、OpenAIやGoogle AI Studio、AnthropicのいずれかのAPIキーを取得する必要があります。
生成AIツール for Excelで利用できる関数は以下のとおりです。
- BB.ASK( )関数:一問一答式の指示文を送り、AIに回答をもらう
- BB.CHAT( )関数:一連の会話文を送り、AIに回答をもらう
- BB.CATEGORIZE( )関数:テキストと分類候補を送り、該当するものをAIに抽出してもらう
- BB.LOOKAT( )関数:画像リンクを読ませ、AIにその内容を答えてもらう
生成AIをExcel業務に活用するメリット
生成AIをExcel業務に活用するメリットとして、以下の3つが挙げられます。
- Excel業務を効率化できる
- ブラックボックス化を解決できる
- 関数やVBAの難易度が下がる
ここでは、それぞれのメリットについて解説します。
Excel業務を効率化できる
生成AIをExcel業務に活用するメリットとして挙げられるのは、Excel業務を効率化できることです。特に効果が出るのは単純作業でしょう。規則的ではない表記を整えたり、表やグラフを作ったりする作業は、難しくはないものの工数がかかります。
それらの単純作業を自動化することにより、作業工数が短縮できます。
ブラックボックス化を解決できる
Excelで複雑な関数やVBAを使っている企業は多いものの、関数やVBAコードのロジックを作成者以外の人が知らないケースは珍しくありません。
作成者が退職や異動した場合、他の担当者がVBAのロジックを理解できず、業務に支障をきたす可能性があります。直接改修できないため、新たにVBAを構築するケースや、改修内容に対応するだけのVBAを作り、2つのツールを使うことになるケースもあるでしょう。
生成AIを活用すれば、関数やVBAコードの解析もできるため、作成者以外の人でも改修が容易になります。元々の関数やVBAを構築した人がその業務に携わり続ける必要もなくなるため、柔軟な人員配置もできるでしょう。
関数やVBAの難易度が下がる
複雑な関数やVBAを作るのは不慣れな人にとっては難易度が高く、知識がある一部の人だけに負担がかかっているという企業は珍しくないでしょう。
生成AIを活用すれば、これまでは知識がなかった人でも複雑な関数やVBAコードを作成できます。これまで負担がかかっていた人の負担を軽減できるとともに、作成者が増えることにより新たなアイデアの創出にも期待できるでしょう。
生成AIでExcel業務を効率化するポイント
生成AIでExcel業務を効率化するポイントとして、以下の4つが挙げられます。
- 明確で具体的なプロンプトを作成する
- 背景を伝える
- 参考情報や回答例を伝える
- 何度もやり取りを重ねる
ここでは、それぞれのポイントについて解説します。
明確で具体的なプロンプトを作成する
5W1Hを意識し、明確で具体的なプロンプトを作成しましょう。例えば「右の列の中から」「グラフを作ってください」のような、選択肢が複数考えられる曖昧な表現をプロンプトに書いた場合、意図していた列と違う列を選択したり、適切ではない形のグラフを生成したりする可能性があります。
「B列の中から」「円グラフで」のように具体的な指示を書くことにより精度が上がります。
背景を伝える
プロンプトでは、背景を伝えることも大切です。例えば上司へ報告する資料に売上結果をグラフ化したい場合、どのように売上結果を報告したいのかで、グラフの見せ方が変わるはずです。
年間での売上結果が低いものの、下四半期では上昇傾向があれば、その部分の色を変えることにより、上司にアピールしやすくなります。この場合、プロンプトには「上司に報告するため、アピールできるポイントを強調するようにしてください」と書くとよいでしょう。
また、どのようなグラフを使えばよいのかわからない場合も「各項目の数値を比較したい」「割合を分析したい」などの背景を伝えれば、その背景に適したグラフを生成してくれます。
精度を上げるためにも、そのデータを生成する背景を整理しておきましょう。
参考情報や回答例を伝える
プロンプトに参考情報や回答例を書けば、さらに精度が上がります。例えば「東京都品川区」「目黒」「渋谷区」のような、規則性がない形式で書かれたデータの表記を統一したい場合で説明しましょう。
「都道府県と区市町村の表記に統一してください」のようなプロンプトを書いた場合、東京都品川区の表記が以下の結果になる可能性が考えられます。
- 東京都品川区
- 東京品川
- 東京品川区
回答例として「東京都品川区」にしてほしいことを書いておけば、回答例に従った表記に統一してくれます。複数のパターンが考えられる場合は、参考になるものや回答例を伝えるようにしましょう。
何度もやり取りを重ねる
これまで解説したポイントを押さえても、完成度が高い結果を得られないケースもあります。特に複雑なデータを生成したい場合、はじめから精度が高い結果を得ることは困難です。
結果をもとに質問や指示を繰り返していけば、精度が高まります。ただし、改善の傾向が見えない場合は、はじめからプロンプトを作り直す必要がある可能性も考えられます。
生成AIを活用するうえでの注意点
生成AIを活用するうえでの注意点として、以下の2つが挙げられます。
- 個人情報や機密情報を伝えない
- 専門的な情報の精度は高くないことを理解する
ここでは、それぞれの注意点について解説します。
個人情報や機密情報を伝えない
生成AIは与えられた情報を蓄積し、学習することにより精度を高めていきます。個人情報や機密情報を伝えた場合、生成AI内にその情報が蓄積され、ほかのユーザーが生成AIを活用した際にその情報を入手してしまう恐れがあります。
ただし、ChatGPTであればオプトアウト機能を備えており、その機能をオンにすれば入力した情報はChatGPTに学習されません。個人情報や機密情報を入力したい場合は、オプトアウト機能が搭載されているものを選びましょう。
専門的な情報の精度は高くないことを理解する
生成AIは、専門的な情報の精度は高くありません。例えばChatGPT3.5であれば、2022年1月時点のデータで回答されており、それ以降に公開された情報については回答されません。
また、2022年1月までの情報についても、間違った情報を回答するケースもあります。例えばChatGPT3.5でいくつかの企業の所在地を質問したところ、ほとんどが間違った情報でした。
そのため、Web上に公開されている情報を取得する場合は、人の目でファクトチェックする必要があります。
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