今の時代の「データ」とは何だろう?
IoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)、ビッグデータを用いた技術革新、私たちを取り巻く仕事環境が日々変わっています。特に最近、「あちこちからデータが集まりつながる時代」と言われていますが、そもそもデータとは何でしょうか。
辞書で調べると、「事実や資料をさす言葉」と説明されています。また、「伝達、解釈または処理に適するように形式化され、再度情報として解釈できるもの」とも定義されています。ということは、活用できる状態になっていなければデータとは呼べない、ということになります。
国税調査のように国が示しているオフィシャルなものから、組織の部署ごとに管理している予算、自分しか知らない体重の推移など、データの種類や特性も様々です。
組織やビジネスで使用する場合、競合が持っていない独自データは、顧客にマッチした提案ができたり、他社にはできない戦略を検討できるため、大きな武器になります。
データはどこにあるの?
「うちにはデータがない」と思っている人、良く考えてみてください。
データは、事実を表したものです。利用履歴だとしても、アンケート結果だとしても、事実の蓄積で成り立っていることがほとんどです。
こう考えてみると、「ないはずがない」ですよね?
まとまって一つのところにないだけで、いろいろなところに散乱しているはずです。
個人のエクセル、基幹システム、紙など、バラバラに独自ルールで保存されている情報たちは、加工すれば立派なデータになります。
使うために加工は必須
データを使えるようにするには、統合や集計などの加工が必須です。
表記やルールがバラバラだと、データ同士をくっつけることができません。表のセル数が違ったり、記載場所が違ったりすると、安易にコピペで一つの表にする、ということもできませんよね。
データとして使えるようにするには、表記や入力ルールを統一する必要があります。加工はいちばん面倒な作業、と言われる理由はこのためです。
たとえば、A部署のデータとB部署のデータを1つにして集計するとします。果たして内容は同じでしょうか?
または、Cさん自作の請求書とDさん自作の請求書、フォーマットは同じで記入ルールは同じでしょうか。
2人のファイルを1つにまとめるだけで大変そうです。
このように、普段は気にしない表記ルールや文書記入のルールが揃っていないと、使用するための加工が必要になります。これは、意外と気にしていなかったことかもしれません。
分析を始める前にやるべきこと
データ分析でいちばん大切なことは、データをグラフにするなどの加工ではありません。一見関係ないと思われがちな、ゴールの設定です。
たとえば、あなたが所属する組織の目標が「毎月で500万円の予算達成」だとしたら、これがゴールになります。
次に目的を設定します。
仮に、現状300万しか達成できていないとします。すると、理想と現実の間には、200万円の差があることになります。この差を解決するにはどうしたらいいのか、その施策を立てるための方法としてデータを分析する、というわけです。データ分析の結果を後ろ盾に施策を考える。誰かを説得する時、事実であるデータから導き出された結果を使用することは、とても強い盾となります。カンやひらめきに頼るより、ずっと心強く自信が持てる説得材料です。
そして、次に目的を設定します。
今回のケースでは、現実と理想の間にあるギャップ(200万円の差)を埋めるにはどうしたいいのか、ということになります。このように、目的がはっきりすれば、散乱していたり、膨大なデータの中から必要なデータが絞られてくるはずです。
効率よくデータ分析を行うためには、まず「思考が迷子にならない」手順を踏むことが大切です。
データ分析でわかることは2つ
そんな分析方法やスキルを使っても、データからわかることは大きくわけて2つです。
未来予測は、あらゆるビジネスの軸足となっている「分析の基本」といえるもので、在庫調整や需要予測など、幅広く使われています。
近年は、ここでAI(機械学習)が登場してくる場合がありますが、複雑な計算方法で途中経過が把握しにくく、ブラックボックス化して誰もその経緯を説明できない、なんてことも起こりうるので注意が必要です。
課題や目的が具体的に定義されていれば、AIでなくても必要なロジックを仮説として立てることができます。
データの活かし方
「データを揃えてグラフにして、ジッと見つめる。そこから答えが見つかるはず」
ゴールや目的を設定せずに、加工から始めてしまうと、このような袋小路に迷い込みます。データは答えをくれるのではなく、目的達成のための裏付け資料です。
データ分析を使用して、理想の姿(ゴール)にたどり着くための施策を考え、どう実行するか。毎日の仕事で情熱を注ぐのはこの部分です。
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