AIエージェントとは?生成AIとの違いや活用方法を紹介

AIエージェントとは?生成AIとの違いや活用方法を紹介

AIエージェントとは AI・生成AI

AI技術の進歩により、業務にAIを導入する企業が増えてきました。ChatGPTをはじめとした生成AIが注目を集めています。AIの技術のひとつに、AIエージェントがあります。

AIエージェントとは、データ収集や意思決定が自動でできるシステムです。有効に活用すれば、業務効率化や人員不足の解消につながる効果が期待できます。本記事では、AIエージェントの仕組みや生成AIとの違い、AIエージェントの種類とともに、活用方法や導入時のポイントについて解説します。

AIエージェントとは

AIエージェントとは、人が設定した内容に基づき、必要なデータの収集や意思決定ができるシステムのことです。人工知能の技術やデバイスを組み合わせて、複雑な処理や複数のタスクを自動で実行できます。

自律して意思決定や学習ができるため、与えられた環境やフィードバックをもとにデータ分析や問題解決、意思決定支援などが可能です。ここでは、AIエージェントの仕組みやできること、生成AIとの違いについて解説します。

AIエージェントの仕組み

AIエージェントは、以下の処理を順番に実行しています。

  1. 状況把握:業務システムの状態・タスク情報・進捗状況などから状況を把握
  2. 情報収集:外部システム・カメラ・マイクなどから情報を収集
  3. 判断:取得した状況や情報をもとに適した行動を選択
  4. 行動:選択した行動を実行

これまでのシステムは一つひとつの処理に対し、人が指示を与えたり環境を整備したりする必要がありました。しかし、AIエージェントはこれらの処理を自律的に実行できるため、人が一つひとつの処理に対して指示を出す必要がありません。

AIエージェントができること

AIエージェントができることは以下のとおりです。

処理できること活用例
タスクの自動化反復的な作業や大量のデータ処理ができるカスタマーサポートのチャットボット
自律した意思決定自律的に動作できる・事前にプログラムされた内容だけでなく、状況に応じた判断ができる金融市場のトレーディングボット
環境変化への適応新しいデータや状況に対応できる物流業界での配送ルート案内
継続的な学習過去のデータから学び、パフォーマンスを向上できる医療分野での診断AI
システムの拡張システムの拡張や変更が容易にできる事業規模拡大に伴うシステムの拡張

これらの能力により、業務効率化はもちろん、データ解析や個々のニーズに最適化されたサービスの提案が可能です。人が指示する必要がないため、24時間365日での対応もできます。AIエージェントの活用は、人員不足解消にもつながります。

生成AIとの違い

近年、ChatGPTをはじめとした生成AIが話題になっています。生成AIとは、テキスト生成や画像生成など、新しいデータやコンテンツを生成することに特化したものです。あくまで情報を提供するだけで行動は起こしません。

一方、AIエージェントはユーザーとのやり取りを通じてタスクを実行するものです。具体的なAIエージェントと生成AIの違いは、以下のとおりです。

AIエージェント生成AI
特徴タスク処理や意思決定など多様な活用ができる言語や画像など特定の分野に特化している
運用方法自律しているため、毎回指示を出す必要がないユーザーが毎回指示を出す必要がある
活用例・チャットボット・カスタマーサポート・音声アシスタント・自動運転・ChatGPT・Gemini・Claude

生成AIがクリエイティブな作業を得意としているのに対し、AIエージェントは既存の情報をもとに、特定のアクションを自動化することを得意としています。行動できるかどうかが、AIエージェントと生成AIの大きな違いといえるでしょう。

AIエージェントの種類

AIエージェントは、機能ごとに複数のタイプに分類できます。主な種類として挙げられるのは、以下の6つです。

  • 反応型
  • モデルベース型
  • 目標ベース型
  • 効用ベース型
  • 学習型
  • 階層型

ここでは、各種類の特徴や活用例について解説します。

反応型

反応型とは、事前に定義されたルールに基づいて行動するタイプのAIエージェントです。単純な業務の自動化に適しています。活用例として挙げられるのは、特定の入力内容に対して決められた応答をする自動応答チャットボットやスマートロックなどです。

自動応答チャットボットは、ユーザーに対するもののほか、社内での規則や業務の案内にも活用できます。

モデルベース型

モデルベース型とは、環境の状態を内部モデルとして保持し、状況変化に合わせて行動を選ぶタイプのAIエージェントです。特定の環境下で規則性のある行動の自動化に適しています。

活用例として挙げられるのは、工場の生産ラインやロボット掃除機、自動運転車の技術開発です。工場の生産ラインは、センサーデータから設備の状態を把握し、最適な運転条件を自動調整します。ロボット掃除機や自動運転では、センサーデータから周囲の状況を把握し、車の速度とブレーキ能力などから判断を下します。

目標ベース型

目標ベース型は、設定された目標に対し、最適な解決策を提示するタイプのAIエージェントです。活用例として挙げられるのは、スケジュール調整や倉庫内で最適なルートを選択するシステムです。

スケジュール調整では、複数の対象者の予定を収集し、都合が合う日程を見つけ出します。倉庫内で最適なルートを選択するシステムは、目標地点と現在地の座標をもとに、最適なルートを導き出します。

効用ベース型

効用ベース型は、行動の効果や満足度をもとに、複数の選択肢の中から解決策を示すタイプのAIエージェントです。活用例として挙げられるのは、金融市場での取引を行うトレーディングボットやカーナビゲーションシステムです。

トレーディングボットであれば、収益とリスクを考慮したうえで最適な判断を下します。カーナビゲーションシステムであれば、目標地点と現在地の座標と、燃費や交通状況を基に最適なルートを選択します。

学習型

学習型は、過去の経験をもとに性能を向上させていくタイプのAIエージェントです。タスクを繰り返しこなし、その結果をフィードバックすることにより、徐々に最適な判断を身につけていきます。活用例として挙げられるのは、カスタマーサポートのチャットボットや対戦型ゲームのAIプレイヤーです。

カスタマーサポートのチャットボットは、過去の対応事例を学習し、適切な回答ができるよう進化します。対戦型ゲームのAIプレイヤーは、過去の対戦結果や対戦相手の戦い方から学習し、より強くなるよう進化します。

階層型

階層型は、複数のAIエージェントが協力して動作する高度なタイプのAIエージェントです。大規模で複雑な処理が必要なタスクを効率的に実行します。活用例として挙げられるのは、製造ラインや物流システムです。

モデルベース型や目標ベース型、効用ベース型などの複数AIエージェントを連携させるよう、状況把握や指示出しを行います。

AIエージェントの活用方法

AIエージェントの活用方法にはさまざまなものがあり、主な例として以下の方法が挙げられます。

  • カスタマーサービス
  • バーチャルアシスタント
  • サプライチェーン
  • マーケティング
  • 自動運転

ここでは、それぞれの活用方法について解説します。

カスタマーサービス

カスタマーサービスは、営業時間に関係なく24時間365日でのユーザー対応が求められます。AIエージェントのチャットボットや音声アシスタントであれば、ユーザーからの問い合わせにも迅速に対応できるため、顧客満足度向上につながります。

また、AIエージェントは人が指示を出す必要がありません。従業員の勤務時間に関係なく対応できるため、人員不足の解消にもつながるでしょう。

バーチャルアシスタント

複数のタスクや予定を抱えて業務をこなしている人もいるでしょう。AIエージェントは、個人の業務管理にも活用できます。バーチャルアシスタントであれば、タスク管理やスケジュール管理、メール整理などの業務管理に対応できるため、個人の業務整理の時間を削減できます。

また、人事では従業員から福利厚生や会社からの案内に対して質問を受けるケースもあるでしょう。人事サポートとしてバーチャルアシスタントを活用すれば、従業員からの質問対応が効率的になります。

サプライチェーン

複雑な管理や処理が求められるサプライチェーンにも、AIエージェントが活用できます。在庫管理や物流の最適化ができるほか、天候や祝日、セールなどの情報から売上を分析し、需要を予測できます。

効率的に在庫管理や物流の最適化ができることにより、納期短縮やコスト削減だけでなく、売上増加にもつなげられるでしょう。

マーケティング

AIエージェントは、マーケティングにも活用できます。さまざまな情報から趣向を分析できます。例えばECサイトであれば、ユーザーの購入履歴や閲覧履歴、検索キーワードなどを分析し、ユーザーが興味を持ちそうな商品をおすすめ商品として表示できます。

それにより、顧客エンゲージメントの向上や、売上の増加が期待できるでしょう。

自動運転

AIエージェントの処理能力は、自動運転にも活用できます。車両に搭載されたセンサーやカメラから周囲の情報を取得し、安全な運転操作を判断します。近年叫ばれているドライバー不足の解消にもつながるでしょう。

また、自動運転であれば人が車に乗る必要がありません。人が入るには危険な場所での調査にも活用できるでしょう。

システム開発

システム開発は、複雑な処理を論理的に構成する必要があります。AIエージェントであれば、ユーザーとの対話をもとに複雑なコーディングを生成できるほか、単体テストやデバッグも対応できます。

また、ブラックボックス化されたシステムコードや仕様の分析も可能です。IT人材不足の解消にもつながるでしょう。

AIエージェントを活用する際の課題

AIエージェントを活用すれば、さまざまな効果を得られることが期待できる反面、以下の面での課題が潜んでいます。

  • 技術面
  • セキュリティ面
  • コストやリソース面
  • 倫理面

ここでは、それぞれの課題について解説します。

技術面

AIエージェントを有効に活用するには、大量の高品質データが必要です。しかし、データ収集にはコストと時間がかかります。そのため、データ量が不足しているタスクに関しては、十分な精度を発揮できないケースもあるでしょう。

例えば、規模の大きくないECサイトでおすすめ商品を表示したい場合、十分なデータを確保できない可能性があります。AIエージェントが判断できるだけのデータ量が確保されているかどうかを注意したうえで、活用することが重要です。

セキュリティ面

AIエージェントは、大量のデータを処理できる反面、セキュリティに関してはリスクを抱えています。例えばECサイトやカスタマーサポートでは、顧客のデータを収集します。

不正アクセスによりAIエージェントが乗っ取られた場合、顧客の個人情報が流出する可能性があるでしょう。その場合、企業の信用や売上にも影響することが考えられます。特に顧客情報を扱う場合は、セキュリティリスクが潜んでいることを理解しておきましょう。

コストやリソース面

AIエージェントの活用は業務効率化につながります。しかし、高性能なAIエージェントの活用には、コストがかかります。長期的に見れば効果があるものの、導入には予算が必要です。

専門的な知識も求められるため、エンジニアも確保しなければなりません。導入にはコストやリソースの確保が必要であることを理解しておきましょう。

倫理面

AIエージェントは新しい技術です。自立した行動ができる反面、特定の状況下では不正確な判断を下すケースも存在します。偏った学習をした結果、人がためらうような判断を下すことも考えられます。

例えば、チャットボットで、企業にとってネガティブなことを回答するケースも予測できるでしょう。完全にAIエージェントに任せるのではなく、人が判断を確認する仕組みを作ることも大切です。

AIエージェントを導入する際のポイント

AIエージェントを導入する際のポイントとして以下のものが挙げられます。

  • データの準備
  • 有効なAIエージェントの選択
  • 既存のシステムとの連携
  • 人間による監視

ここでは、それぞれのポイントについて解説します。

データの準備

AIエージェントを有効に活用するためには、データの質と量が欠かせません。質の高いデータを多く学習させることによりAIエージェントの判断の精度が上がります。

そのためには、データの整理と管理が大切です。データを使いやすいよう整理するのはもちろん、データ内の項目やファイル名も統一すれば、AIエージェントが学習しやすいデータになります。効率的にデータを管理するためには、データの収集や管理ができるシステムを用意しましょう。

有効なAIエージェントの選択

ニーズに適したAIエージェントを選ぶことも大切です。AIエージェントには、反応型やモデルベース型などの種類が存在しており、種類によって特徴が異なります。

例えば、人事サポートとして従業員からの問い合わせに活用する場合は反応型が適しています。一方、複雑な処理や判断が求められる場合に適しているのは、効用ベース型や目標ベース型、学習型のAIエージェントです。

どのようなデータを使い、どのような判断が必要なのかを理解したうえで、適したAIエージェントを選びましょう。

既存のシステムとの連携

既存のシステムとの連携にも注意しましょう。AIエージェントを導入したものの、既存システムとの連携がなく、かえって時間がかかるケースやAIエージェントを使わなくなるケースは珍しくありません。

これは、AIエージェントに限らず、新しいシステムを導入する際に押さえておきたいポイントです。既存のシステムと連携し、業務フローを大きく変えることなくAIエージェントを導入することにより、効果が大きくなります。

ただし、既存システムと連携せず、新しい業務フローにすることにより、効率が上がるケースも存在します。導入前と導入後の効果を検証することが大切です。

人間による監視

AIエージェントを導入する際は、人間による監視も必要です。前述したように、AIエージェントは倫理面でのリスクを抱えており、間違った判断を下してしまう恐れがあります。

しかし、リスクを恐れてAIエージェントの導入を諦めていては、業務改善は進みません。リスクを理解したうえで、必要に応じて人間が監視する体制を作ることにより、AIエージェントを有効に活用できます。

人間がフォローした場合のコストも含めたうえで、AIエージェント導入の効果を見極めることが大切です。

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AIエージェントとは、人が設定した内容に対し、必要なデータの収集や意思決定ができるシステムです。自律したシステムのため、人間の指示なく複雑な処理や複数のタスクを自動で実行できます。

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